大口径ライフル銃の教習射撃
銃砲所持の規則はどんどん変わる。目的は一応、銃による事故、犯罪防止だ。
しかし、銃の所持者は二極分化しているように思える。射撃や猟を頻繁にやり銃を愛し、仲間と楽しんでいる人たち。一方、銃にマニア的感覚で接し、あまり撃たない、自宅に保管し、一人で観て触って楽しむ人たち、だ。
銃砲所持許可は、3年おきに書き換える。2-3年前までは「銃砲所持許可」の手張は3年ごとに新しいものになったが、その制度は無くなった。所持している銃砲の部分(ページ)を新しくする。3年毎に警察署で学科だけの「経験者講習」を受講する。これはお話だけで、はっきり言って実施している人たちには悪いがあまり役にはたたない。多分、我々の身元や見かけ、その他をチェックしているのだろう。
銃の保持には三原則があり、これは世界中共通で軍隊でも警察でも民間でもどこでも厳しく言われる。1、銃には普段から弾薬を込めない、2、人の方向に銃口を向けない、3、引き金に指をかけない、だ。しかしこの原則の守り方には限度がある。それとは異なる次元だが、家庭や運搬の保管の仕方や、射撃や猟に行く仲間の錬度なども重要だ。ちなみに日本と米国では銃に対する考え方はまったく異なるから、米国の友人には「拳銃に弾薬を込め、枕の下に置いて寝る、もう何十年もの習慣だ。」と言う人。「拳銃は弾薬を抜いてホルスターに入れ外から見えるように下げて外出する。何分の一秒で弾倉を込められる。」
という中西部に住んでいる人、さまざまだ。「コンシールド」、銃器を隠す概念が違法になったからだ。しかし家の中にうっかり弾薬を込めた銃器を置き、子供の事故が絶えない。枕の下に置いても良いが、起きたら、弾倉を抜いて、子供手の届かない所に置く習慣もなければならない。
日本では一人の人間が多くの銃を所持していると言うのが問題になっているようだ。規則はそれを対象に作る。だから私たちのように、狩猟用にライフル銃と散弾銃、2挺だけの所持者には大変に煩わしいのだ。米国では散弾銃は所持許可はいらない。日本では少なくとも3年間に1回の警察署での講習、2回の射撃場での射撃講習に参加しなければならない。
そんなことで、昨年、散弾銃の3年目の射撃教習を受けた。今年はライフル銃の射撃講習を受けた。
射撃教習だから書き換え前にこの所持者は銃を安全にそして的確に扱えるかを観るのが目的で、一定以上のスコアを上げねばならない。
警察署で費用とともに申し込みをする。指定された日、時間に射撃場に行く。
数名が一緒で、まずは講師の話を聴く。昨年の散弾銃の時は銃の握り、引き指の伸ばしをうるさくいわれた。今回は季節がら狩猟の事故に関しての話だった。事故のニュースはその度接しているが、系統的にその背景を含め聞くと大変に役にたった。ライフル銃は威力があるから安全性は無論のことだ。受講者の銃所持の背景は様々だ。一人は恐らくライフル射撃協会で競技などに参加するような方だろう。皮の射撃ジャケットスタイルだ。私の左にいた。
私ともう一人(同じ猟友会)は狩猟だ。残りのふたりは分からない。マニアかもしれない。小口径で、延びる銃床、二脚のついたような変わった形の銃だ。
(小口径はライフル射撃協会の競技に年に2回参加すれば講習は免除らしいが)
射撃には三姿勢から選べる。でもISSFルールは関係ないらしい。
標的は大口径ライフル50mのもので、小口径ライフルの2人はそれよりやや小さい5つの標的が一枚になっているものだった。
大口径は10点が15㎜の大きさで得点圏が半径80㎜の小さなものだ。
まずは試射をしてよい。6発撃った。5-9点内真ん中より下に集中する。手ごたえはある。それから20分間くらいで新しい標的に20発撃った。(弾薬は20発を箱の手前にまとめておく)
最初、やはり下を撃っていたが、上げる努力をする。これが結果だ。やはり三分の2は下方だった。しかし全弾標的に命中し、黒を外したのは3発だけ。
おかしなことがあった。戻り数えてみたら21発の弾痕がある。どうも11時方向標的外に覚えのないものがある。3-4発ごとにスコープで確認していたし、弾薬を20発置き、20発撃ち、これは誰かからの「貰いダマ」だなと。講師は自分でスコープをのぞいていたので気が付いていたようだ。「20発撃ったですね」
の確認があった。
夜、審判員の友人に画像を送った。彼が4倍に拡大した結果の返事を呉れた。
内側弾痕口径、平均直径28.5㎜、私の.270,7mm弾だ。その外は25.0mm弱
6㎜口径だ。左隣の射手が6㎜弾を撃っていた。これで納得した。
ロンドンオリンピックでも同様のことがあった。スコープを使うと視野が狭くなり、他人の標的を捉えてしまうことがある。競技では申告しなければならない。
この時はそのまま帰ったが、ISSF規定では最上位点、10点から減点される。
合格点は伏射60点、膝射45点、立射25点だそうだ。
私は大口径ライフルを1970年代、米国でスプリングフィールド30.06を使い伏射から始めたから、迷わず伏射を選んだ。
規則の改定や講習に関して、まことしやかなデマを飛ばす仲間がいる。これにまどわされてはいけない。
また、数年前、幼い長男が次男を撃った事故のケースのように20挺もの銃をテーブルに並べるようなコレクターは全部の銃の射撃教習に行き、成績を上げるのも無理だ。
日本では銃砲所持は年々困難になる。
若い人に勧めるのは、まず「狩猟免状」(国家資格だ)を取る。その時に「銃猟」と「わな」を一緒に。勉強の手間は同じだ。今「わな」もなかなか面白い。自然界を知る。
「空気銃」から「散弾銃」そして経験を積んで「大口径ライフル銃」に。
多分14-5年間は掛る。なぜSB(.22小口径)をやった学生が辞めてしまうか?
不思議でならないが、元々銃が好きではなかったのだろう。
確かにSBでは銃の大ごみは味わえない。一生の趣味は計画がないと成就しない。
なお、銃が当たるようになるのは、その銃を愛し、信頼するようにならなければ駄目だ。(この項以上)