古式銃登録証誤記問題

春にその前から頼んでおいた、岩手県一の関の業者からエンフィールド銃アーテナリーモデル(砲兵銃)が入った。外部の状態は非常に良い。

image001

口径を測ると.58(14.66㎜)よりやや大きい。内部のライフリングは少し減っているか。しかし日本で見つけるにはこの程度は我慢しなければならない。ミニエ式のエンフィールド、スプリングフィールド、レミントンなど各社の口径は.577から.585くらいまであり、お互い弾薬を調整して使ったようだ。(調整の仕方は自分でも随分考えたのでまたの機会に)
玉型は幾つかのメーカーから出ているがほとんどが.58だ。

この銃のライフルリング、薄いとは言え、銃口まである。銃口付近をやすりで
削り猟銃として散弾を発射した銃もあるからだ。だが、外観を観る限り、猟銃に使用したとは思えない。果たして、少し大き目の弾丸を発射するとライフルに噛みまっすぐに飛んだ。ライフルに噛まないと、横転して近くなら当たるが、50m以上は正確には飛ばない。薄いライフルだが、前装の限界だ。

image002

 

image004

登録証を観ていて、これは困ったと思った。「管打ち銃」であるのに「ピン打ち銃」としてある。岩手県に手紙を書き、修正を求めたが、『鑑定』が必要と言う返事が来た。間もなく東京都教育委員会から連絡があり、決められた日時に東京都庁に実物を持ってくるようにとのことだった。
都県同士のコミュニケーションはかってより良いようだ。

そのために、先日、久しぶりに東京都の刀剣、古式銃の鑑定に行ってきた。
勿論、この銃は問題なく「管打ち銃」であり、しばらくして岩手県教育委員会から「ピン打ち銃」登録証の返却封筒と、新しい管打ち銃の登録証が送られて来た。

image005

全長が計測仕方で0.7mm変化した。また口径はライフルだから山は1.45mm,谷はそれより0.15mmくらい大きいのではないか。本来、両方記載すべきだろう。

しかし、東京都庁、私は比較的ちかくに住んでいるが、遠い人は行く,待つ、鑑定を受ける手間暇は大変だ。
私の場合はミニエ銃の研究をしているから、異なる種類の登録ではまずい。
銃砲史学会会員の立場としても。

先日、雨宿りにはいった昔なじみの店で、よもやま話をしていたら、登録証の名義変更とか、サイズの誤記とか、銘が書いてないとか、様々なトラブルを修正してもらうために持ち込まぬ方が良い、そのままにして持っていてよい、と言う話が出た。登録審査はそれほどの大ごとになり、ちょっとしたことでもモノを没収されると言う噂になっていると聞いた。

岩手県に以前聞いた際にピン打ち銃が41挺あり、全体の数量の比率はとても高い。何かあったなと、感じていたが、やはりこんなことだったのだ。
銃に関する知識のない登録審査員が審査したからだ。

なお、東京都も岩手県も担当者は非常に丁寧、親切であった。