「美しい国日本を護る」中部方面隊・伊丹駐屯地
概況)
陸上自衛隊中部方面総監部は東海・北陸・近畿・中国・四国の2府19県、全国のおよそ3分の1を担当地域としている。今回は伊丹にある中部方面総監部と
同じく第36普通科連隊を訪問した。近畿地方は第3師団の地域であり、京都、奈良など日本の文化、伝統の地を護ると言う重責を課せられている。近年、担当地域には大規模自然災害の発生が多く、その対応に活躍している。
朝、大阪中心部を出発し、1時間ほどで伊丹空港の少し先にある中部方面総監部を訪問し、同方面総監部の最近課題に関しての講義を受けた。
その後第36普通科連隊に移動、普通科連隊の歩兵の様々な装備品に関しての見学と軽装甲機動車への体験搭乗を実施し、昼食後、解散した。
第36普通科連隊見学)
普通科連隊は小銃手の集団であり、今まで意外に訪問の機会は少なかった。
今回、丁寧に説明していただいたのは小銃手と狙撃兵の装備だった。
① 小銃手
背の高い、所謂イケメンの歩兵だ。防弾衣、八九式小銃、銃剣、弾帯を装備していた。小銃の負い紐(負い帯、スリング)が工夫してあり、さまざまな形に持ち替えることができるが、十分に小銃に慣れねば危険と感じた。
兵器開発10年間と言う基本に沿えば、すでに次期小銃開発を進めてなければならない。効率から言えば、NATO弾5.56㎜を旧西側の国々は使っているわけで外国製でも支障はない。だが日本は伝統的に自国開発の小銃を使用してきた。軍用小銃は弾丸を発射するだけの機能の時代は終わり、ミニミのように軽機関銃化(ベルトリンク給弾)や投擲装置が付属したものでないと物足りぬ。携行弾数を増やすには小口径化だ。
暗視装置は現在では必要不可欠な装備だ。恐らく日本の電子工業水準から言えば次世代の画期的暗視装置開発は必要不可欠である。
ソルジャーを観て感じるのは、やはり国民にはすべからく、銃を操作できる能力を教育すべきであろう。銃刀法の規制もありほとんど不可能だが。
新しい防弾衣
良く出来ている。鉄とセラミックをうまく使い。
② 狙撃兵
彼女には嫌われるかもしれない、この姿では。でも姿は見えない。
顔に塗るドーラン、それと身にまとうギリースーツ。装備はレミントンアームズの7.62㎜だ。100年前の実包30.06が基本になっている熕棹式小銃だ。銃床の長さが調整できる、銃身が軍用なので太いのが特徴だ。眼鏡はおそらく10倍、500mくらいは6倍くらいで射撃するのであろう。この距離なら全弾、人像的に命中させなければ狙撃章は貰えない。彼もまた背の高い、体格の良い青年だった。私も自分の銃と眼鏡のためにペリカン社のハードケースを購入したがやはり軍用のものを民用に使うと不便だ。ちなみに私は300mで人像的半分(有効射程距離)、150mで全弾の能力。私の経験では大口径ライフル、米国製は今ひとつの性能だ。やはりドイツ製のもの、価格は倍だが精密度が違う。
誤解ないように言うが、戦闘はプロの仕事、アマチュアには出来ない。
だから日本にも「イエス・アイ・アム・ア・ソルジャー」と言える人間が自衛隊OBは無論のこと必要なのだ。
軽機動装甲車への体験搭乗)
後部に2名搭乗する。真ん中が広くなっており、上蓋を開けて12.7m機銃、
対戦車ロケットを操作する。後部にも大きなドアがあり、軽迫撃砲クラスの装備品が搭載出来るのだろう。内部の撮影は遠慮。
駐屯地を一周する。各曲がり角には整理係が立ち、万全の体制だ。感激した。
車輪を観るとこの車の乗り心地を恐れるが速度3-40㎞で走る限り、私の薄いゴムと大きなホイールタイヤの車と変わらない。恐らく逃げるときには100㎞は軽く出るだろう。液冷ディーゼルエンジン。4x2x2mくらいのチョロQ的な形状だ。
広報資料館)
見学予定に入ってなかったが、私だけ特にお願いし担当者にご説明いただいた。
かなりのスペースがあり、また珍しいものも多い。しかし展示が系統的でなく、その資料の重要性も認識されていない。これは実にもったいない状況であると感じた。
ソ連の兵器があるのは朝鮮戦争後、米軍が置いて行ったか?
例えば、何でもない土工具の一つであるが、中円匙(スコップ)の柄も完全なものがあった。板の左右に二つの小さな孔が開いているがこれは当時の戦闘を知るに重要な要素なのだ。円匙は顔を隠す大きさであり、これを顔に当てると小さな孔から状況が見える。勿論、小銃や機銃の弾丸には無力かもしれないが、帝国陸軍の小さいが大きな工夫なのだ。
その他、輸入したであろうモーゼル小銃、三十年式小銃、九四式六号受発信・音声電鍵兼用小型無線機、八九式擲弾筒新品、それに帝国海軍25㎜機関砲単身型、九二式重機関銃完全品などなど。日本のものと外国製を比較するのは難しい。単に比べてもその時代、目的、背景を理解してなければ意味がない。どなたかゆかりのあった帝国陸軍将校の完全な装具がばらばらに展示してあったがまとめて「当時の将校」装具を再現するなど。水筒、飯蓋なども面白い。
またも同行ご担当に迷惑をかけた。「皆さんお待ちです」と耳を引っ張られるように連れ戻された。
結論)
「戦闘において我彼は同じ兵器を使い戦うことはない」の原則から言えば
たとえ小銃、銃剣においても敵より優れたものを使用することが緊用である。
今回は見学できなかったが、普通科では手榴弾(自衛隊のものは見たことがない)、対戦車ロケット砲、60㎜迫撃砲などの数量と弾薬補給システムも戦闘に於いては重要な要素である。
別件ではあるが「広報資料館」展示は隊員、関係者、訪問者に普通科の任務を
歴史的にまた現在の姿を観ていただき、その課題を認識して貰うことが重要な活動であり、その整備が望まれる。
(この項以上)