独特な第13師団 広島・海田市駐屯地研修(平成27年10月)

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広い

先週、防衛懇話会の研修で、行って来た。
海田市は広島市から東、海岸に面した地形だ。
駐屯地は普通科を始め、戦闘体制が普通だ。しかしこの海山市駐屯地は少し
違う。と言っても小規模は駐屯地ではなく、定員は1,800名に近く(以前は22,000名いた)、中国地方5県を管轄している。
中国地方は地政学的には特殊だ。西は九州、南は四国、
北側に日本海に面し800㎞ほどの海岸線を有す。広島はその中心であり、もとより軍事的には重要な拠点であるが、師団としてはかっての半分の規模になっているそうだ。

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毛利家の「気を抜くな」と言う意味の言葉

師団の特徴は「緊急、公共、非代替性」の三つであり、特に昨年の豪雨災害対策は重要な課題であり、自治体、警察、消防などとの連携が重要である。
武装しておらず危機の時の訓練を行う、どういう内容か最初は戸惑ったが、説明を聞くうちに徐々に解明して来た。
陸上自衛隊の機能を自治体と一体化して災害時(これは当然有事に共通する)の準備をしているのだ。

1、 通信隊

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通信兵の通信具はこれだけ。台には自分の装具背嚢などを載せる。

自衛隊の全国の部隊や基地間の通信を行うシステムとは別にNTT西日本など民間通信会社との多重無線システムを持っている。そのための特殊なアンテナ、サーバーなどの装備品が外部(当日は晴天であった)に展示され説明された。
HF,VHF,UHFなど広域多角的な無線で、音声、データ、メール、画像、などを司令するところに送り、正確な情報を与える。当然、衛星をつかうがセキュリティは厳重に確保されている。

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2、 特殊武器防護隊
所謂化学科部隊である。シアンやサリン、生物、あるいは核はすでに一般的な脅威であり、もし何か尋常でない事象が発生すれば、「まずは化学兵器による攻撃」と疑うのが今では危機管理の常識だ。(これが通じない国民が多いので苦労するが)
大宮化学学校で見学したのを同じような除染に使う、新型大型機材がそろって1いた。下は除染車。

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生物偵察車

3、 警務隊

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防衛大臣直轄のMPである。自衛隊内の司法警察職務を行う。多くの業務内容は警視庁各警察署と同じで武道を中心とした逮捕術を訓練している。
車両関係も殆ど同じで機動力がある。要人警護などにも出動でできる。
拳銃がシグ220の日本版でコルトガバメント型の収容嚢に入れてある。

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4、 災害援助機材の倉庫を見学した。
この駐屯地も海抜2mと低地にあるので、機材はコンクリート製の頑丈な倉庫2階以上に必要なものが全てかなりの分量保管してある。不明者捜索用の地面に付き刺す棒が印象的であった。

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『いつもながらどこの駐屯地においても、我々のような研修者に対して、部隊の全員が丁寧な準備、そして分かり易く、てきぱきと説明して呉れる。勿論ぶっつけ本番でないだろう。司令官以下、全員の誠意が感じられた。』

最後に資料館(海田市駐屯地顕彰館)を見学した。この責任者がなかなかの役者で喇叭を手から離さない。資料館自体は小さい建物だが、日清戦争の逸話に始まり、各資料の背景を詳しく喇叭を吹き、「海ゆかば、山ゆかば」の独唱を含め、とてもユニークで記憶に残った。

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まだ資料は沢山あるが、展示用のスペースがないそうだ。「帝国陸軍第五師団」そして「広島陸軍幼年学校」に関する資料が主なるものだった。
やはり「自衛隊博物館」の建設は期を熟しつつあるのではないか。
(この項以上)