1- 9、手榴弾信管の進化

① 九七式手榴弾信管

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打撃発火、曳火式である。安全な機構であったが、取り扱いづらい点があった。
全長は63㎜で本体にネジ込みである。信管はほとんど手榴弾無稼働化の際に不完全な形になっており、正確に全体像が判明する資料は少ない。
上から直径14㎜、長さ28㎜の被帽、信管を被い、安全栓(U字型の針金)が
横から信管筒に止めてある。下部が4つに割れており、空間から曳火のガス排出口2個ある。上から12㎜のところに幅4mmの窪みがあり、これは信管筒の凹に合っている。つまりここで被帽は止まっているのだが、多くは緩い。
内部にはコーン型のスプリングとその上に撃針塊がある。針の上は削ってあり、そこに安全栓が通る。筒底に雷管があり、それが打撃されると内部の曳火薬に点火し4-5秒で起爆薬を爆発させる。曳火部分は細い穴で、起爆部分は10㎜ほどで強力な爆発力があった。
保管、運搬では信管は外してあったようだ。そのため本体の内部には長さ56㎜、直径9㎜の薄い金属製の筒が挿入されていた。これは内部の炸薬は出て来ない仕組みだった。底はフェルトなどで止めてあった。
起爆薬の強さでこの金属筒は破壊されたのだろう。

②九九式手榴弾信管

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同じく、打撃発火、曳火式である。九七式と互換性がある。全長50㎜
進化したのは被帽だ。直径15㎜、長さ23㎜であるが、横に長さ10㎜、
幅2㎜の楕円型の孔が縦に入れてある。安全栓を抜くと、10㎜のストロークで
動く。

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ネジで下部が止めてあり、被帽自体は安全栓を外しても、外れないが、打つとこのネジが上に来るまで動く。とても優れた設計だ。中の機構は九七式と同じだろう。ネジを外して開けたことはない。

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上の穴も塞がれている。